※このページは多島斗志之の小説「黒百合」のネタバレ作品解説です。
楽しみが無くなりますので読んでない人は当ページは絶対に見ないように。
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- | ハッキリ言おう。わかりにくい。ミスリードのための無駄な登場人物に思わせぶりな書き方。 若干イライラしながら読んでしまった。倉沢家の家庭などもわかりやすくしておきましょう。 【ややこしい家庭環境紹介】 倉沢喜久男----倉沢家の長男。大学時代に黒ユリお千だった相田真千子と付き合う。昭和二十年に殺される。 ----色白の妻、昭和二十七年では感じが悪く描かれる。香の二つ上の男の子を出産。 ----香の兄、色白の妻の子、神経質らしい。頼むからちゃんと登場してくれ。 ----愛人の女(香の母)、昭和十七年に死去。香を出産している。 ----倉沢香、清純そうに見えて男を手玉に取りそうだと思ったが、その後一彦と結婚したらしい。 倉沢貴代司----倉沢家の次男。暴力団に借金がある。定職にはつかない。日登美のダンナ新也が嫌いらしい。 兄の死を調べ真知子を強請るが返り討ちにあって死亡。デカダンスでハンサムなやつ。 倉沢日登美----昔、真千子と付き合っていた。現在は婿(新也)を迎えるが、愛人持ちの新也とは仲が良くない。 ----新也(旧姓・舟津)、めんどくさいことに足を引きずっている。愛人持ち。貴代司が嫌いらしい。 浅木健太郎----一彦の父です。ベルリンへ行った。別荘持ち。 -----最初の妻、一彦の母。戦時中に空襲で死んだらしい。かわいそうにな。 -----相田真千子、浅木と再会し再婚。こっそり二人くらい殺してます。 -----浅木一彦、準主役。 寺元(父)-----父である。名前は出てない。 ----寺本進。物語の主人公。三歳上の兄がいる。 【どうでもいい恋物語を無視した一連の流れ】 (昭和十年) 浅木健太郎(一彦の父)・寺元(私の父)・小芝一造がベルリンを訪れる。 当時で数え年・二十歳の相田真千子と出会う。 食事に同席したり人種侮辱罪に加担し秘密警察に捕まったりといろいろある。 誰かを待っているらしい真千子だったが、その人物は現れず帰国する。 (昭和十六年〜昭和二十年) 倉沢日登美(当時16歳)が宝急電鉄の車掌と恋仲に落ちる。 当時の恋人に「兄・喜久男は外に愛人を作っている」とこぼす。喜久男の妻は美人で5歳になる息子がいる。 ※面倒くさいようだが確認。この昭和十六年時点で香は生まれており三歳である。 戦争が始まる頃、日登美の恋人が車掌から運転士になる。写真を撮る。 戦争中も日登美と恋人との交際は続く。「肉体の深みに入らない」と伏線の記述。 昭和二十年、喜久男が運転士である恋人の元へやってくる。「何が目当てだ」「日登美をどうするつもりだ」と 問い詰めるが、空襲のどさくさの中、日登美の恋人に殴殺される。 喜久男の視点からすると、騙して追い払ったはずの元彼女がまた姿を現して妹をたぶらかしていると思っている。 (昭和二十七年) ※これという情報や伏線がない日は省略してあります。 7月24日、私・寺元が六甲へ訪れる。一彦とおばさんが迎えに。(おばさんは男物のズボンを穿いている) 25・26日、香と出会った私と一彦、翌日に見晴台へ行く。帰りに六甲の女王と出会う。 30日、私と一彦は倉沢家へ。日登美と出会う(この時点で二十七歳)。 喜久男の死後、日登美が婿をもらっていてその人が会社を切り盛りしている。 31日、倉沢家に再度遊びに行った私と一彦、ちらっと日登美の夫を見る。片足を引きずっていた。 ↑昭和十六〜二十年当時の恋人と錯誤させるミスリードだが事実はそうではない。 1日、「日登美の夫が愛人を囲っている」と香に聞く。昭和十六年のパートで日登美の恋人が 他の人妻とも交際している記述がちらっと出たので、これも上と同様ミスリードである。 4日、香の母親を初めて見る(感じが悪い)。昭和十六年当時五歳の息子がいたあの妻である。 香は愛人の子で産みの母は既に亡くなっていると聞く。 6日、倉沢家でハンサム運転手を目撃。まるで運転手と主人の関係じゃないようだと疑ってるが 実際は貴代司なので別に変でもない。こういう目くらましをいちいち気にしないほうがわかりやすい。 8日、外に愛人を囲っているという日登美の婿は新也という名だと知る。 9日、香が貴代司から黒ユリ組の話を聞く。戦前の東京にいた不良女学生グループのことで そのリーダーが<黒ユリお千>。名前に千が入っているらしく、その黒ユリお千と喜久男が恋人だったらしい。 結婚の約束をしていたが、喜久男に縁談が持ち込まれる。喜久男サイドは、元・不良のお千を「ヨーロッパに 駆け落ちするから先に行ってて」と騙して、その隙に結婚してしまった。言うまでも無く相田真千子パートのこと。 10日、新也は電車の運転もうまかったと聞く。←しつこいけど日登美の夫=昔の彼と思わせたいミスリード。 六甲の女王が満で三十六歳だと聞いた。 11日、日登美のアルバムを見せてもらう。制服制帽姿の青年(…)の写真を見て誰かに似ていると思っている。 12日・13日、駒石だと思っている貴代司がヤクザと一緒にいるのを目撃。翌日、駒石じゃなくて貴代司だと知る。 14日、日登美の恋人が貴代司に強請られ、逆に射殺。 18日、父がやってくる。六甲の女王がいた後に「まさかベルリンの彼女(相田真千子)がここにいるとは…」と言うが 実際は六甲の女王のことではなく一彦のおばさんのことを言っている。 19日、一彦のおばさんが義足であることがわかり、貴代司が死んだ大雨の夜、外出していたことがわかる。 私(進)は水はけを良くする作業にいったと思ってるけれど、もちろん強請られて射殺した夜である。 ようやくここで相田真千子(黒ユリお千)=日登美の昔の恋人=一彦のおばさんであることが明らかになる。 (ずっと後) 一彦と香は結婚した。老境にさしかかる現在も六甲山の別荘にいる。進・一彦・香以外はもうこの世にはいない。 (犯人としてのまとめ) 犯人の視点で一番わかりやすく並べておきます。昔<黒ユリお千>などと呼ばれていた相田真千子嬢は 東京の大学にいた倉沢喜久男と付き合うんだけども、駆け落ちしようと騙されてドイツに行ったはいいものの とうとう来なかったが、寺元・浅木・小芝の三人と知り合った。帰国後、東京の酒場で浅木と出会った真千子は 小芝の伝手で宝急電鉄へ入社。戦時中で男手を失っていた当時は、婦人車掌が多く、真千子も採用。 その後運転士に。その間女同士であるが倉沢日登美と付き合うことになる。しかし日登美の上の兄は 昔に騙された喜久男であったために喜久男は「妹を使って復讐でもしようってのかっ」と思ったかはさておき 食って掛かってきたので空襲のどさくさで殴殺。その時に足を負傷し、切断を余儀なくされ義足の生活に入る。 その後、一彦の父・浅木健太郎(妻は戦中に死)と再婚。現在の「一彦のおばさん」として登場している。 木の玩具を作る腕に優れている。おばさんと呼ばれていても今でも美人らしい。 マチコという登場人物のラジオ番組を好む日登美の心中が気になるところである。 (六甲の女王) こいつが一番面倒くさい存在なのである。ただミスリードのために出てきた女で そういうのってずるいんじゃないのかと思うが、その怒りはおいといて属性を確認しておこう。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (ややこしや〜) 六甲の女王以外にも香の神経質な兄であるとか日登美の夫が足を引きずってる上に愛人を囲ってるとかさ。 無駄に誘導しようとしてる小道具が多すぎる。それがまた何かを意味してるなら最高だけど…それだけのため。 どうでもいい話も多かった気がするよね。あくまでメインは恋物語なのだと言ってしまえばそれまでだけど。 (数え年・満) 使わなくなっているので馴染みが薄い言葉ですが、数え年とは生まれた途端に一歳となっていて 正月が来るたびに一切が加算される方式である。現在使われているのは六甲の女王が使っていた満○○歳であり 生まれたら0歳で、誕生日が来るたびに一歳が加算されることになる。 2000年5月に誕生した場合、2001年4月の時点で数えで2歳、満0歳になる。5月になると数えで2歳、満1歳。 ややこしいですよね。そんなわけで六甲の女王が八月の時点で誕生日が来てるなら相田真千子と同い年で 別人、ということになる、はず…だよね?誕生日が九月とかで別人って証明したほうがミステリ的にはスッキリするが。 |
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